ロシア語文法を学ぶためのテキスト【4選】

学習テキストが他言語に比べてかなり少ないロシア語ですが、それでも文法書は何冊も出ています。初心者はなるべく簡単で続けられそうな文法書を探しがちですが、簡単であるほど一冊では不十分なため、何冊も買いそろえることになってしまいます。

当サイトが目指しているのは初心者が次から次へと学習書を買い足さずに済む、「この一冊で十分だよ」という学習書の紹介です。

私が最もオススメしているのは以下の『NHK 新ロシア語入門』です。

『NHK 新ロシア語入門』 佐藤純一著(NHK出版)

新ロシア語入門表紙

表紙を取っています

全50課からなり、学校で授業を受けているかのようにイチから体系的にロシア語を学べます。

初版は1994年で2001年にCDを付属して新たに刊行。その後は増刷を重ねて現在至ります。

 

大きな特徴としては以下のことが挙げられます。

一冊で初心者がロシア語の文法や読解、聞き取りに関して体系的に網羅できる、まさに「教科書」

◇一冊で4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の基礎が身につく


◇発音にかなりの力を入れており、細かい音の違いや発音記号の読み方までしっかりと記載されている(超重要)

◇35課程度までしっかり身につけば初心者でもロシア語検定4級にも挑戦できる(「まえがき」より)


◇最終的にロシア語検定3級合格も目指せる(「まえがき」より)

◇94年が初版だが扱っている内容のテーマはすべてロシアが舞台なので、とくに古さなどは感じない

 

『NHK 新ロシア語入門』はこんな人におすすめ

「なるべくお金をかけないでロシア語の勉強ができたらいいな」

書店には本書よりも平易で簡単な文法の学習書籍はいくつかあります。

しかしいずれも「あくまで文法の入門書」のため、結局それだけでは足りずにレベルアップした文法書が必要になることでしょう。

本書は1冊で初心者から中級まで学べるので、しっかり食らいついて学習すれば何冊も文法書を買う必要はありません。

当サイトでは入門書は『ロシア語のしくみ』で十分と考えているので、『ロシア語のしくみ』を読み終わったらこの『新ロシア語入門』を始めるチカラが身についていると自信を持って言えます。

 

ロシア語入門中身

ロシア語入門の中身

 

『新ロシア語入門』は1課ごとに「見開きページで完結」しているレイアウトになっており、見開きの2ページ中に、

◎重要センテンス(基本例文)
◎ロシア語の長文(読み物、会話、笑える小話など多岐にわたる)
◎ロシア語長文の日本語対訳
◎新しい単語集(原型、活用形のほか、発音記号までも)

が例外なく載っています。

そして次ページの見開きでは文法解説と練習問題(解答は巻末)があり、1課につき4ページ構成で進めていきます。

 

また、「本書の特徴」でも挙げたように『新ロシア語入門』では発音にものすごく力を入れています

発音記号も一つ一つ細かく学べるため、発音記号さえ身につけば仮にCD音源がなくてもそのロシア語の正しい音の読み方がわかるようになります。

他言語を学ぶ上で初心者はどうしてもカタカナに頼りがちですが、正しい音声を身に着けようとするならばカタカナ表記では不可能です。

残念なことに発音記号がロシア語に添えられている学習書はあまりにも少ないのが現状。

ロシア語は正しく発音しないと全然別の意味になったり、まったく通じなかったりします。

趣味で学ぶだけではなく、実際にロシア語を発してみたいと考えているなら発音記号は必須です。

 

なお初心者がつまずく点としては、解説がかなり詳しいため、文法用語がどんどん増えて頭のなかがごちゃごちゃになりやすいということ。

しかし語学学習で文法を学ぶにあたって用語は必須なので、これはやむを得ないかと思います。

というのも文法用語に関しては本書独自の言い回しではなく、学習書共通の名前だからです。

ただし初めから難しい用語は出てきませんし、新しい用語が出てきたらその説明があるので忘れたら見直しましょう。

 


以下は当サイトの目標である『1冊で完結する』には及ばないけれど、文法入門書としておすすめな学習書をご案内します。

『標準ロシア語入門』 東一夫・東多喜子著 E・ステパーノワ監修(白水社)

標準ロシア語入門

 

『NHK新ロシア語入門』のさらに古くから活用されているロングセラーの文法書。

 

標準ロシア語入門中身2

標準ロシア語入門

 

『NHK 新ロシア語入門』と大きく違うのは、会話できることをメインの目的として構成されているということ。そのため長文テキストはなく、基本的に会話の例文で文法を学んでいくことになります。

難解な長文がないため抵抗感なくページを進めていけるのは貴重です。本書も1課あたり4ページで完結しています。

本書の特徴としては以下が挙げられます。

◇ロシア語の文法を、「読む・書く・話す」ことを目的に体系的に学べる
◇例文はすべてワンフレーズ式で、読み物は巻末のみ
◇応用例文はすべて会話形式になっている
◇筆記体の書き順、描き方の練習にも触れられている
◇発音記号はない、フリガナのみ

 

ところがかなり残念な欠点があります。それがこちら。

◆初版は70年代なのでかなり古く、会話フレーズのなかに現代ではあまり使われないソ連的な語彙が見られること
◆ロシア語ではていねいな言い方とカジュアルな言い方があるが、ていねいな言い方しか載っていないこと

特にソ連的な古い語彙に関してはロシア人に爆笑されるかドン引きされるかです。(私は失笑されたうえ、引かれました)

解説が比較的簡単で少なめなので、欠点を理解したうえで学習すれば会話+文法書として最後まで行けるかと思います。

『ゼロからスタート ロシア語文法編』 匹田剛監修(Jリサーチ出版)

ゼロ型スタートロシア語表紙

 

近年出版された本の中で、タイトル通り完全初心者向けに書かれているのが『ゼロからスタート ロシア語文法編』です。

監修の匹田先生は当サイトの文法参考書として載せている『これならわかる ロシア語文法』の著者でもあります。

 

ゼロからスタートロシア語中身

ゼロからスタートロシア語中身2

 

本書の特徴はこちら。

◇ロシア語をまったく知らない人を対象とした構成で、ですます口調の解説がやさしい
◇重要ポイントは赤で書かれている二色刷りのため見やすい
◇各ページのイラストに割かれているスペースが大きく、全体的に余白も多い
◇太字、細字、矢印を多用して文章にメリハリがある
◇初心者でも最後までやり通せば、ロシア語の基礎知識は身につく
◇ときどき登場するロシアのコラムが面白い新出単語には発音記号がついている

 

弱点としてはやはり、

圧倒的にロシア語量が足りないこと
◆フリガナが大きいので邪魔に感じることもある(どうしてもロシア語ではなくフリガナを読んでしまう)
◆次にかならずもう少し踏み込んだ文法書が必要となる

入門編の『ロシア語のしくみ』でざっと全体像をつかんだら、『NHK 新ロシア語入門』に行く前に本書を活用するのもありです。

『初級ロシア語文法』 黒田龍之介著(三修社)

初級ロシア語文法

本書は当サイトのロシア語入門書として強く推薦している『ロシア語のしくみ』を執筆された黒田先生の著作です。

難解でとっつきにくい「文法」という壁を「乗り越えるための“はしご”」のような書籍だと私は解釈しています。つまり、はっきり申し上げるとこれはいわゆる「文法書」ではありません

このあたりは黒田先生もまえがきで書かれており、

この本は「参照する文法」ではなく、「読む文法」です。(中略)この本には、特別な使い方などありません。小説と同じように、順番に読んでくださればいいのです。

とあるように、終始やさしい語り口で最後まで飽きずに読ませます。まるでエッセイを読んでいるような新感覚の本です。

 

初級ロシア語文法中身

 

この本の対象者は全くのロシア語初心者で(ここまではみんな同じ)、かつ「ロシア語文法に恐怖心がある・抵抗感がある人」だと思われます。

本書の特徴は以下の通り。

字が大きく平易な語り口調最後まで「読んでもらう」ことを前提とした構成
◇初心者の悩める気持ちを代弁した記載も多く、共感を得やすい
◇最後まで読むことで初級文法の基本が身につく
◇例文はワンセンテンスのみ、非常にシンプル

 

そして易しいがゆえの弱点もあります。

◆収録単語数は少ない(→初心者が理解しやすいよう、あえて少なくしているとのこと)
◆最初に読み方に触れて以降ロシア語にフリガナはない(もちろん発音記号もない)
◆分厚いエッセイのような構成上、重要ポイントを探したり索引から調べたりができない
◆あくまで初級のなかの初級のため、1冊では足りない
◆やや高価

『ロシア語のしくみ』から本格的な文法書に行く前にもう2段階踏んでおきたいという人の、最初のステップにおすすめです。

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